あの日の太陽高校3年目も半ば、委員会の仕事を終えて渡り廊下を歩いていると校庭の隅に紫陽花が見えた。
雨に打たれ花弁から支えきれなくなった雫が落ちていくのを見ていると、腹の底がズンと重くなったような感覚に襲われる。
おそらくこの紫陽花が、ここ数週間の憂鬱の原因である男の目と同じ色だからだろう。
名の通り太陽のような男だった。
まだ肌寒さの残っていたあの春の日、たっぷりとしたまつげに光を反射させながら真夏の太陽のように俺を狂わせた。
しかし最近、その太陽が消えたのだ。
毎日バカみたいに笑って…実際バカだが…とにかく楽しそうにしていたのに、突然学校を休みがちになり、久しぶりに登校しても生傷だらけの身体を引きずって、今日の空模様のような顔で笑うようになった奴を思い出しては気分が悪くなる。
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