ゆっくりと、高校の先生方に酒盛りに誘われただとかで、藤波のおじさまに「今夜は帰りは遅くなる」と告げられた夜。
知ってるのよね、そういう時は朝まで飲み明かすって。お昼前になってお酒の匂いをぷんぷんさせながら帰ってきては、竜之介さまに怒られるのよね。
なんでかと言うと、これまでに何度も同じことがあったから。
おじさまはお約束の如く、竜之介さまの肩をつかんで「くれぐれも婚前に劣情の波にさらわれ云々」といつものセリフ。
それって半分はこっちにも言ってるのよねぇ。竜之介様のかわいい後頭部ごしにちらりと牽制ぽい眼差しを向けられたことに気づかないフリをしておいた。
そりゃあどれだけ息子扱いしていたって、おじさまにとってはたったひとりの娘だもの。心配よねぇ。
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