春がくるのを待っている1.
冬の寒い朝。布団から出ることも億劫になりそうな日でもネロは早くから起き始める。時間通りに体内時計で目を覚ましたネロだが、体に残る疲労のせいかどうも眠気を払えずゴロリと寝返りを打った。
隣ではスーピーと鼻息を立てて眠るブラッドリーがいる。晒されたままの肌に昨夜の情事を思い出し、ネロは眠気の原因と思われる彼の鼻を苛立たしげにつまんでやった。
「んがッ…………」
安眠を妨害されたブラッドリーは鼻をつまむネロの腕を捕らえると億劫そうにまぶたを持ち上げ睨んできた。
「…………ネロ」
睡眠後の低く枯れたブラッドリーの声に名前を呼ばれ、思わず胸がきゅうと音を立てる。気怠そうな色気のある彼に目を奪われているとお返しだと言わんばかりに起こしかけていた体をベッドに沈められ鼻をつまれた。
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