ヨリを戻したい風信「やり直したい」
慕情のしなやかな手をキュッと握り射抜かれそうなほど熱っぽい目で見つめられる。
その言葉と熱に浮かされそうで男に身を委ねたい衝動を抑え込みながら風信を睨み、離せと低くうめいた。
男はそういうも強く握りしめたその手を話そうとはせず、何か言いたいようだが口を開けては閉めてを繰り返している。
この男は何を考えている?今更やり直す?私たちの関係を?
そもそもコイツはまだ私のことを好いているということなのか…?六〇〇年以上経つというのに…
慕情は驚きと昂りで眩暈がするような感覚を覚えた。
(風信とやり直す?)
もう一度自分の中でその言葉が反復された、否そんなものは無理だ。人というものは……裏切り裏切られる、それは神であろうが鬼であろうが変わらない。
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