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    🥗/swr

    らくがきとSSと進捗/R18含
    ゲーム8割/創作2割くらい
    ⚠️軽度の怪我・出血/子供化/ケモノ
    SNS等のリンクまとめ→https://lit.link/swr2602

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    POIPOI 358

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    DONE2021/05/31 過去作投稿
    『ヴェルトラオムの亡霊』(グノーシア)
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    真エンド後にセツが主人公の肉体を焼却処分する話。ハッピーエンド。
    セツ主(恋愛描写なし)。明確な主人公の名前や姿は出てきません。
    ヴェルトラオムの亡霊 医療ポッドの中に、一体の死体があった。
     いや、その表現は適切ではなかった。そこにあるのは端末だ。正確に言うならば、ポッドの中の「それ」は死んではいない。だが殆ど死体と同じだった。なぜならば、それの「意識」はもう二度と接続されることがないからだ。
     その中に入っているものは二度と目を開けない。二度と声を発しない。そして誰かの手を引き笑いかけることも、もう二度とないのだ。
     動かぬ生物体の入ったポッドは、もはや棺と呼んでも差し支えなかった。
     それをポッドの中に入れたのは、淡い[[rb:鶸色 > ひわいろ]]の髪をした人間――乗員の一人、セツだった。
    「…………」
     ポッドのガラス越しに、セツはそれをただ眺めていた。何の感慨も湧かなかった。少なくとも、それがもう動かないことに悲しみを抱くことはなかった。このポッドに入っている肉体は、ほんの数十分前まで自らの横で動いていたというのに。手を握り、目を合わせ、微笑みを向けていたというのに。
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    DONE2020/09/20 過去作投稿
    アンソロジー寄稿作品
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    神に会いに行ったマルベーニの独白と、本編最終話でこれまでのことに考えを巡らすメツの話。
    ※規約の再録制限期間終了のため掲載。
    在処「——貴方が、この世界の神なのですか」

    ◆◆◆

    鋼色の瞳を持ったブレイド——メツは、無機質で広い通路を悠々と歩いていた。通路にはびっしりと僕が並んでいる。赤く頑強そうな人型の機械達は沈黙したままで、メツがその先へ進んでゆくことを許した。……いや、実際には違った。彼らがメツを許したのではない、メツが彼らを黙らせていたのだ。つい先程通り抜けてきた、酷く暗い広間。そこで得た権能を用いて壁に格納されている僕——タイタン達を沈黙させた彼は、通路奥の扉を抜けて昇降機の上に立った。
    手で触れて操作せずとも、それらは想像するだけで思いのままに作動した。気の遠くなるほどに遥か昔に建造されたとは思えぬほど、昇降機は淀みなく動いた。そして目的地に到着し、昇降機が停止するのにさほど時間はかからなかった。ぴたりと止まった昇降機の床から一歩踏み出す。彼の眼前にはまたしても扉があった。だがこれで最後だと、開く前から分かっていた。自らここに来たのは初めてで、この先の光景は決して見たことがないはずなのに。同じ根を持つ者の奥底にしまい込まれていた景色がまさにこの先にあると、彼は確信できていた。
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    DONE2020/03/15 過去作投稿
    『彼は誰のユーフォリア』収録
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    本編エンディング後から一年後、楽園の未踏区域の調査を任命されたメレフがカグツチととある洞穴に足を踏み入れる話です。
    ※巨神獣とブレイドに関する強い捏造・自己解釈を含みます。
    ※レックス他本編内のパーティメンバー、ユーゴ、ワダツミが出ます。
    彼は誰のユーフォリア白と黒の煙が舞う機械の街の中を、女は一人歩いていた。
    砂混じりの風がひゅうと吹いて、彼女の黒髪をなびかせた。見覚えのある街は賑わっていた。硬い石畳の広場では子供たちが楽しげにはしゃぎ回っていて、その向こうには堅牢な要塞としての機能を備えた巨大な皇宮が鎮座している。
    彼女はそれを見上げ、違和感を覚えた。壁面は日の光を浴びて反射している。皇宮へと続く橋の柵は真新しい。よく見れば今まさに歩いている地面の石畳もより綺麗に敷かれている。構えられている砲台も彼女の目に見慣れぬ姿をしていたが、その様相からそれらは彼女が知っているよりずっと高度な技術で生み出されたものだと推測できた。
    砂塵に打たれ至る所で錆や傷を見せている、それが彼女にとっての見慣れた風景だ。記憶と違うその景色をただ呆然と眺めていると、遊んでいた子供の一人が目の前に飛び出してきた。ぶつかると判断し身を逸らそうとしたが避けきれず、だが子供は彼女の体に衝突することなくするりとすり抜けてそのまま走り去ってしまった。
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    DONE2019/02/03 過去作投稿
    『赤槍の唄』収録
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    ユーゴにとってのカグツチとワダツミの話。※ラウラの過去の捏造あり
    砂塵と星空夕暮れ時、広大なダナ砂漠の片隅にある小さな野営地。
    その焚き火の傍らでは、その日の食事を担当する帝国の宝珠――ワダツミと、イーラの秘宝と呼ばれる白銀のブレイド、シンの姿が忙しなく動いている。そこには金色の目立つ少女――天の聖杯――ヒカリが何やら割り入って声をかけていて、シンは少し鬱陶しげに彼女をあしらい、ワダツミはというとその彼を見て笑いながら手際よくミツマタナズナを刻んでいる。

    凄まじい力を持つとされる、三人のブレイド達。けれどもそうして料理をしている姿だけを見れば、彼らが大国の至宝として扱われるような存在であるなど、知らぬ者なら気づけはしないのかもしれない。
    若きスペルビア皇帝、ユーゴ・エル・スペルビアは、そんな三人の姿を少し離れた場所からぼんやりと眺めていた。アデルとの明日の予定のすり合わせが終わり、彼は時間を持て余していた。かといって、料理に関して門外漢であるユーゴは彼らの手伝いをしようにも大したことは出来ない。彼は徐々に日の落ちていくダナ砂漠を一瞥すると、焚き火から離れた位置にあった、固く座り心地の悪い丸太の上に腰かけた。
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    DONE2018/05/06 過去作投稿
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    エンディング後、インヴィディアとスペルビア間で祝宴が催されたという設定の話。
    カグメレというよりメレカグっぽい話です。
    以前書いた『Peafowl』より少し前の時間軸イメージですが、『Peafowl』を読んでなくてもお読みいただけます。
    やや後ろ暗いです。(2022/07/07)
    あなたにふさわしいひと「……やはりこのような格好は慣れないな」
    やや覚束ない足取りで歩いていたメレフが、居心地悪そうにぼやいた。はぁとため息をついて立ち止まり、高いヒールの靴を履いた己の脚先を伸ばして眺めているメレフの元に、カグツチが歩み寄る。
    「脚が痛みますか?」
    そう言ってメレフの肩にそっと手をかける。伸ばされた脚先に視線をやると、その踵あたりがやや赤くなっているのが見えた。
    「そうだな……少し。さっさと着替えてしまいたいよ」
    メレフはそう返すと爪先を眺めるのをやめ、一つ苦笑を見せて再び歩き始めた。その彼女をカグツチも追う。

    その日はインヴィディアの賓客を招いての盛大な祝宴が催されたのだ。祝宴はインヴィディアとの正式な国交回復を記念して行われたものだった。生まれ変わった世界では以前では考えられなかったようなことが次々と起こっていた。大昔から犬猿の仲で小競り合いばかりを続けてきたインヴィディアとスペルビアも、空前絶後のアルストの危機を乗り越えた今では共に手を取り合い歩み寄る姿勢を持とうという考えが広まりつつあった。
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