平行の交点平行線もいつかは交わるらしい。ユー、この足元が球状の天体であればこそ、必ず何処かで交わるのだ、アンダースタン?耳慣れぬ口調。姫君とお付きの騎士がすこぶる不仲との噂を耳にしたシーカー族研究員が持論をもって、年若く不器用な騎士に声をかけに来た。シーカー族の中でも特に奇抜なヘアスタイルの彼。突然初めて話しかけられ少なからず驚いたものの、感情表情ともども殺すことに慣れきった騎士リンクは無表情と共にご教示頂き有難う御座います、と返した。反応は乏しくとも、伝えたかった事を伝えたと彼はあっさりその場を去った。リンクは研究に勤しむ主君の姿をその眼で探し出してから、先の言葉を頭の中で反芻した。この世界にいる限りいつかは、などとひどく曖昧だが、希望がまるで無いよりは、と思える言葉。物心ついてから、あのお方の為に持てる力を活かすのだ、自分が護るのだと、理由は無いのに揺らがぬ思いがある。他に行く場所などない。この先何があろうとも、ここが私の帰る場所。
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