手のひらを打ち付けた衝撃と、ガタン! と響いた派手な物音で飛び起きた。
衝撃も物音も、どちらも発したのは自分だった。
「うわ……寝てた……」
デスクの上を呆然と見つめながら俺は呟いた。手元には皺になった企画書と、デザイン案を描きかけのまま放り出したタブレット。
周りには既に誰もいなくなっていた。スリープモードのタブレットの電源ボタンを押すと、「22:36」の文字が明るく浮かび上がる。
苦笑してしまった。健全な私生活を送りたいならオフィスにいていいような時間じゃない。こんな日々もそろそろいい加減にしないと、いくら若くても体がもたないだろう。
身の周りを適当に片付けて俺は立ち上がった。デスクに齧り付きで酷使した腰がずしんと重たかった。
1965