のぼるひに 太陽の光がさんさんと降り注ぐような夏日でも、昼休みの図書室はひんやりと涼しいから好き。
早く教室に戻ろうと思っていたのに、もう予鈴が鳴りそう。新しいシリーズ本を読み始めるか悩んでいたら、すっかり遅くなっちゃった。
図書室を出ると、途端に鼻の先からぬるい空気に包まれる。教室に戻る頃には汗ばんでしまうだろうけど、新しい本を借りたワクワクで気にならない。
第一巻のつやつやとした表紙を撫でながら、下り階段の一段目に足をかける。そこで予鈴が鳴り始めた。いつもは静かな図書館近くの階段でさえ、賑やかな声が響き渡る。
はしゃぎ声と、階段を駆け上る足音がどんどん近づいてくる。ぶつからないように、本を抱きかかえて通路の外側に寄ったけれど、それでも、その子達と踊り場ですれ違うには、ぎりぎりの距離だった。
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