ティータイムは贅沢に「……」
「……」
「……アオキさん、」
「? はい、何でしょう」
「チリちゃんな、このくっそ暑い中の視察で喉カラッカラやし身体の中めっちゃ熱籠っとるしでアイスコーヒー頼もうと思っとってん」
「ああ……まぁ、その気持ちは解ります」
「せやろ!?せやからメニューは軽く摘まみたい軽食やったり、良い感じにサラッとさっぱり食べれそうなデザードでも合ったらええんやけどなって思うて見とったんやけど……これ、ここ!見て!?」
自身の手にしっかりと握られたメニューをくるりと反転させ、チリは今まで自分が見ていたページを彼――正面で静かに耳を傾けているアオキへと見せつけるように突き出す。机に立てられたメニューを片手で倒れないように支えながらも、ぐっと身を前のめりに乗り出し、メニューの中で写真付きで紹介されていたある一文を熱量いっぱいに黒色の皮手袋を纏った指先で示してみせた。
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