「おはよう。日向さん」
日に日に近くなっていると感じるその声を聞くと、反射で肩が跳ねる。振り返って居たのは案の定、あいつによく似たアンドロイドだ。似ているな、と思うのはこいつが苗木を模すよう改良を重ねられているからなのか、俺の記憶が薄れているせいなのか分からない。どっちにしても気分が悪くなる。しかしそれを表に出したところでどうしようもないことが分かっているから、諍いを起こさないためにも押し込めるしかないのだ。
「前にも言ったけど、さん、なんて付けなくてもいいんだぞ。呼び捨てでいい」
敬称を付けられるより、ずっといい。苗木の姿で気を遣った態度を取られると、まるで自分が苗木を物として扱っている気持ちになるのだ。
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