ナマモノ犬猿 夏。一年で最も暑い季節だ。年々異常気象で最高気温を更新していく中で項垂れてしまうが、ここ日本には夏ならではのイベントがある。
夏のイベントといえば一般的に思い浮かべるのは花火大会や海開き、夏祭りでの屋台巡りや涼しくなるお化け屋敷など挙げていけばキリがないだろう。
そんな中、ここ防衛隊東方師団内ではきたるべき熱い夏のイベント……いや、戦に足を運ぶ猛者がいた。
場所は有明ビッグサイト。本日ここで行われる催しは同人誌即売会だ。
キャリーケースをゴロゴロと転がしながら小此木が眼鏡を外し、流れ落ちる汗を拭った。
「まだ朝早いというのに暑いですねぇ。水分補給しっかりしてお互い頑張りましょう!」
見るからに疲れが取れていないのに満面の笑みで小此木が笑顔を向けたその先には、第一部隊のオペレーションルームに勤務する来栖がいた。小此木と同じく、目の下には濃い隈が残っており、疲労が濃く滲んでいたが何故か清々しい程の笑顔だった。
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