遠ざけていた煙草に再び手を出すようになったのは、あの日から。
タンッ──────────
脇腹の横を勢いよく通過したヒールが、背後の壁を鋭く突いた。ふわふわのミニスカートは捲れ上がり、その内側からは、すらりとしなやかな脚がむき出しになっていた。
「単刀直入に言う。不死川が好きだ。付き合ってくれ。」
黒のワンピースにフリルのついた白いエプロンとカチューシャ、いわゆる「メイド服」姿の小柄な生徒は、ハッキリとした口調でそう告げた。左右で色の違う不思議な瞳で、俺を見上げながら。
教師というのはかなり特殊な職業だ。職場内恋愛が多く、時には生徒から恋愛感情を向けられることも少なくはないとは聞いていた。でも、まさか・・・念願の高校教師になって約半年、本当に自分が告白される側になるとは夢にも思わなかった。しかも、受け持ちの「男子生徒」である伊黒小芭内に足ドンされながら。
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