「何も無いのだが」
ギィ、と少しばかり古くなった社の扉を開く。
言われたとおり、中は空になっていた。
「仕舞われたの」
「まあ管理する者が絶えてしまったからな」
わたしはまだ居るのになと寂しく奥を見つめる。
「それじゃ今から出しちゃいますか」
「お、そうだった、お前が全部引き受けてくれるのだったな」
「で、どこにあるんですっけ」
腕まくりをして早速彼はきょろきょろ辺りを見回す。
「おや、お前知らんのか」
「いや全く」
「…ちなみに今日他の社の神職は別の神社でやる大祭の神事に出ているのは」
「全然」
「知らんのだな」
「え、じゃあ今日何もできない…んですか」
「出店に共をしてくれるくらいだな」
「神様なのに出店行くんだ…」
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