ボロボロの身体を引きずりなんとか帰路につく。壁に手をつき体をもたせかけ重たい足を運ぶ。自身の部屋のドアノブを握ると赤黒い血がベッタリとついた。もはや己の流した血か返り血なのかも分からない。ふらふらとベッドに倒れ込むと一気に力が抜けた。自分を中心にシーツが赤く染まっていく。私はもう長くはもたないだろう。
『カルエゴ、そこにいるか』
そう呟くとしばらくの沈黙の後暗闇にボウッと幼いカルエゴが姿を現した。
『はい、兄上』
カルエゴはその小さな手をこちらに伸ばすと優しい手つきで私の頭を撫でた。だんだんと身体の軋みが和らいでいく。
『カルエゴ』
『はい』
『どこにも行かないでくれ』
カルエゴは驚いたように目を見開いたものの微笑んで
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