泡沫は恋をする チリンチリーンと坂道を自転車で駆け降りる。
道ゆく観光客はこんな裏の住宅街まで来ないからか道行きは快適だ。潮風を肌で感じながら、ドラルクは道に並ぶ昔ながらの駄菓子屋をなんとはなしに見た。
「あ、っつぅーい。しぬぅ。やだぁこんなしにかた、かっこよくないぃ……」
金ダライに、何かがべちゃりと伏せていた。
「んん? あれ、なんでどらこぉのにおい……、あ、どらこーじゃん! やっほー!」
伏せていた、やる気のないあざらしのような何かががばりと顔を上げる。ドラルクは思わず自転車を止めて額を抑えた。
「……きみ、何やってるのここで」
「売られてる」
「バカじゃん」
輝く銀髪を揺らしてこてりとそれが首を傾げる。金ダライに入り切っていない、灰色の尻尾がぱしゃりと水面を叩いた。
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