出轟ワンドロ「時間の扉」「過去」21:38
扉を開くと、そこは異世界だった。
まるで出来損ないのSF小説のような展開だ。この扉を通る前の僕は、確かに寮の廊下にいた。轟くんと英語の勉強をしようと、二人で僕の部屋に入ろうとしていたはずだ。
それが今は、何故だか真っ暗な和室にいる。全く意味が分からないけど、実際そうなってしまっている。
敵連合の襲撃だろうか。焦って周りを見詰めるが、敵の気配は無い。
そうしてクルリと辺りを見回したところで、僕はもう一つ、奇怪な出来事に遭遇していたことに気がついた。
和室の真ん中には、小さな布団が敷かれていた。大人用より数周り小さな布団に、小さな体が横たわっている。
赤ちゃんだ。見知らぬ赤ちゃんが目の前にいた。
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