日狛が初エッチする小説 冒頭ボツシーン 気がつくと、狛枝凪斗は闇の中に立っていた。
「あれ?」
ここはどこだろう。狛枝は慌てて周りを見渡す。しかし右を見ても、左を見ても、ただひたすらに真っ暗な空間が広がっているだけだった。
まったく状況が飲み込めず、狛枝は困惑する。幸運の反動で、突飛な状況に巻き込まれることには慣れていた。だがいつもの「不運」とは、何かが違う。狛枝は宇宙空間に一人で放り出されてしまったような、不安と心細さを覚えた。
「ねえ、狛枝くん」
突然、声がかかった。幼い子供の声だ。いつの間にか狛枝の目の前に、小学生くらいの男の子が立っている。短い前髪に、まるい鶯色の瞳。キッと吊り上がった眉。
「……日向クン?」
狛枝の口から、見知った人物の名前が零れた。目の前の少年は、未来機関のジャバウォック島支部で狛枝と共に働いている同僚かつ恋人――日向創と瓜二つだったのである。
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