未定 フロイドおじさんは、背の高い人だった。
帰宅したジェイドは、玄関にある、ボロボロのスニーカーに気が付いた。ジェイドはもちろん、父親のものよりも大きい。慎重に靴を脱ぎ、見知らぬスニーカーの反対側に揃える。音を立てないように動き、そうっと開けた扉の先、リビングには、見たことがないような、だけどなんだか見覚えのある感じの男の人がソファに座っていて、ランドセルを背負ったジェイドを、ビックリするくらい愛想なく眺めた。
「ジェイド、お帰り」
いつもこの時間は仕事のはずの母親は、部屋着のまま、その男の隣に座っている。二人の顔はよく似ていて、ジェイドは彼が親戚かなにかなのだと察する。キッチンからは、おかえり、と、父親の声まで聞こえた。
23546