震える手、押し潰されるかのような空気、少しでも壁から顔を出せば撃ち抜かれるという確信。
斜線が見える度、溶けていく味方。
今までの相手とは次元が違う。
圧倒的な力の前に今までの自分の努力を否定されたような気持ちになり、無力感と恐怖で段々と息が苦しくなる。
相手のリッターの銃口がこちらに向いた瞬間、荒い息とともに目を覚ました。
「っ……はぁ……はぁっ」
もう何度目かもわからない悪夢に両手で顔を覆う。
「ウィル?」
自分らしくないと感じながらも聞こえた声に縋るように震えた手でロゼの服をつかむ。
「嫌な夢をみたのか?」
隣に座り俺の背中を擦るロゼの手に少しの安堵を覚え息を整える。
最近はあまり見ていなかったのに。
いつもと違う俺の様子にロゼが心配そうに眉を寄せる。
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