実家の近くで同級生がカフェを開こうとしていてちょっと気まずい※卒業後の話です。
「カフェをやろうと思うんだよね。映えるやつ」
「は?」
異世界の言葉を聞くような気分で、イデアは目の前のケイトの顔を見た。なぜだか家に押しかけて夕飯まで作り、当然のように一緒に食事をとっている、謎の陽キャ。今日は彩りあふれる野菜のオーブン焼き。いったいどこで食材を調達しているのやら。
「なに? やっぱり君も、日の当たるところに住みたくなりました?」
「え? なんで? ここでやるんだよ」
ここ。ケイトが指を下に向ける。ここ? それはつまり、この、嘆きの島のことか?
「正気か? こんなところにカフェの需要があると?」
「あるでしょ。意外とライバル少なそうだし」
「それは需要がなかった結果としての自然淘汰では?」
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