さそり座と空虚な独白―
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殺した。不思議と何も感じなかった。
……そういえば、そうだった。
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……あれは、ホイクジョに居た頃の話だったかねぇ。……多分、驚くと思うんだけどさ?当時の俺は比較的大人しくてねぇ、そこまで突出した特徴も無かったのよ。考えらんなくない?……そうでもないか。……ま、でも一つだけ目立つ所があったんだけどさ。
生まれつき人相の悪い顔付きしてたんだよねぇ。それでいて大人しかったもんだからさ、周りにはそれだけで高圧的に見えてたんだろうねぇ。お陰でハブだとか、暴力とか。そういうのも日常茶飯事でさ。やになっちゃうよねぇ。
でも一番キツかったのは……ミサンガとか、折り紙とか……見た目に似合わない「好きなこと」を馬鹿にされた事だったんだよねぇ。……君も嫌じゃない?自分の好きな事と自分。関連付けられて馬鹿にされるの。俺は嫌だったな。そんでまぁ、ストレスが溜まってきちゃってさぁ。……へへっ、何せされるがままだったからねぇ。アビリティも無かったからさ。
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