蕾はまた違う色の花を咲かせる あの時の俺が、先に逝ったあの人たちを恨んだことはないかと聞かれたら、少しだけ言葉に詰まるだろう。それほどに、自分が持ちえぬものをすべて揃えて形作ったようなあの人たちがまばゆかった。
▽
「俺はお前みたいに周りを明るくさせるような饒舌さも持っていない」
「いきなりどうしたの、リベリオ」
「何の面白みもない男のことを、どうしてそんなに構うんだと……、ふと気になった」
女は輝石みたいに澄んだ瞳をまあるくして、考え込むように少し目を伏せ、ケラケラと大きな声で笑った。
「冗談を言ったつもりはないのだが」
「アハハ、うふ……、うん、ごめんなさい。それは分かっているけれど。」
何が面白いのか分からないが、女は楽しそうにひとしきり笑って疲れたのか一呼吸置いた後、今度ははにかむように微笑んだ。
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