フラワーシャワー 色とりどりの花びらがひらひらと空に舞う。教会から出てきた新郎新婦は周囲の歓声と祝福を一身に浴びながら、幸せを噛み締めるようにゆっくりと一歩一歩進んで行く。
「やっぱり寂しいですか、お兄ちゃん」
すぐ隣で聞こえた声にブラッドが視線だけ寄越すと、どこか楽しげに細められた司令の瞳がそこにはあった。彼女はあらかじめ手渡された花びらたちが風に飛ばされてしまわないよう、宝物のようにそっと両手のひらで包み込んでいる。
「俺はあなたの兄ではないし、そもそもこれはオープニングセレモニーの一環としての
模擬挙式だ」
ブラッドは再び目線を新郎新婦、もといフェイスと新婦役の女性へと戻した。
「そして俺とあなたは視察という名目でここに来ている。あくまで今は仕事中だ。軽口は慎むように」
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