「今だから言えるのだが、正直言ってお前に良い印象を持っていなかった。」
年が明け数日、年末の苦労を皆で労わろうではないかと開かれた新年会及び慰労会の席で、久しぶりに顔を合わせた綺麗な男の言葉に思わず目を見開く。
そういうことを面と向かって言う様な男では無かったと短くはない付き合いで知っているつもりだ。
幾ら無礼講の酒の席だとしても、真正面からそんな台詞を突き付けて来たことに戸惑いが隠せず、はぁ、と気のない返事しか返す事が出来なかった。
「どうした日野?鳩が豆鉄砲を食ったような間抜けな顔をしているぞ?」
貴方の所為なのだが。思った言葉は口にでず、また気のない返事が出てしまった。
どういう顔をすれば良いのか解らない。中山にどういう心境の変化があったのだろう。
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