村上春樹
_munomaru_
DOODLE村上春樹の信者とネタが通じない人は読まないでネ。もう一つある。 彼と出会ったのはいつだっただろう。彼は気がつくと消えてしまっていた、僕の睾丸と共に。
彼と出会った時の事はよく覚えている。
「僕と契約して魔法少女になってよ」
そんな事を急に吹っかけてきた。急だったから僕は呆気にとられた。すると彼は、呆気にとられた僕の逸物目掛けて勢いよく手を伸ばし、睾丸を引き抜いた。
「……その睾丸、どうするんだい?」
精一杯だった。彼は答える。
「どうすると思う?投げつけるのさ」
彼が投げた先に何か居たと言う人もいれば、何も居なかったと言う人もいる。僕にはそのどちらとも分からなかった。
とにかく彼は、僕の睾丸を一つ空へ放ると、嬉しそうにこう続けた。
「もう一つある」
そう言うと彼は、残った僕の睾丸をやはりそこに在るナニカに向けて勢いよく放り投げた。満足げな表情の彼は、僕が瞬きをする間に何処かへ消えてしまったんだ。
599彼と出会った時の事はよく覚えている。
「僕と契約して魔法少女になってよ」
そんな事を急に吹っかけてきた。急だったから僕は呆気にとられた。すると彼は、呆気にとられた僕の逸物目掛けて勢いよく手を伸ばし、睾丸を引き抜いた。
「……その睾丸、どうするんだい?」
精一杯だった。彼は答える。
「どうすると思う?投げつけるのさ」
彼が投げた先に何か居たと言う人もいれば、何も居なかったと言う人もいる。僕にはそのどちらとも分からなかった。
とにかく彼は、僕の睾丸を一つ空へ放ると、嬉しそうにこう続けた。
「もう一つある」
そう言うと彼は、残った僕の睾丸をやはりそこに在るナニカに向けて勢いよく放り投げた。満足げな表情の彼は、僕が瞬きをする間に何処かへ消えてしまったんだ。
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MOURNING著者:村上春樹四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて四月のある晴れた朝、原宿の裏通りで僕は100パーセントの女の子とすれ違う。
たいして綺麗な女の子ではない。素敵な服を着ているわけでもない。髪の後ろの方には寝ぐせがついたままだし、歳だっておそらくもう三十に近いはずだ。しかし五十メートルも先から僕にはちゃんとわかっていた。
彼女は僕にとっての100パーセントの女の子なのだ。彼女の姿を目にした瞬間から僕の胸は不規則に震え、口の中は砂漠みたいにカラカラに乾いてしまう。あるいはあなたには好みの女の子のタイプがあるかもしれない 。例えば足首の細い女の子がいいだとか、やはり目の大きい女の子だなとか、絶対に指の綺麗な女の子だとか、よくわからないけれどゆっくり時間をかけて食事をする女の子にひかれるとか、そんな感じだ。僕にだってもちろんそんな好みはある。レストランで食事をしながら、隣りのテーブルに座った女の子の鼻の形に見とれたりすることもある。しかし100パーセントの女の子をタイプファイすることなんて誰にもできない。彼女の鼻がどんな格好をしていたかなんて、僕には絶対に思い出せない。いや、鼻があったのかどうかさえうまく思い出せない。僕が今思い出せるのは、彼女はたいして美人じゃなかったということだけである。なんだか不思議なものだ。
3263たいして綺麗な女の子ではない。素敵な服を着ているわけでもない。髪の後ろの方には寝ぐせがついたままだし、歳だっておそらくもう三十に近いはずだ。しかし五十メートルも先から僕にはちゃんとわかっていた。
彼女は僕にとっての100パーセントの女の子なのだ。彼女の姿を目にした瞬間から僕の胸は不規則に震え、口の中は砂漠みたいにカラカラに乾いてしまう。あるいはあなたには好みの女の子のタイプがあるかもしれない 。例えば足首の細い女の子がいいだとか、やはり目の大きい女の子だなとか、絶対に指の綺麗な女の子だとか、よくわからないけれどゆっくり時間をかけて食事をする女の子にひかれるとか、そんな感じだ。僕にだってもちろんそんな好みはある。レストランで食事をしながら、隣りのテーブルに座った女の子の鼻の形に見とれたりすることもある。しかし100パーセントの女の子をタイプファイすることなんて誰にもできない。彼女の鼻がどんな格好をしていたかなんて、僕には絶対に思い出せない。いや、鼻があったのかどうかさえうまく思い出せない。僕が今思い出せるのは、彼女はたいして美人じゃなかったということだけである。なんだか不思議なものだ。