王子さまLV1
瀬菜悠貴
MOURNING個人サイトで公開していた作品で2004年作。BLゲーム「王子さまLv1シリーズ」で王子×従者(カナン×セレスト)。写真、のお題で書いたものです。カナン視点。「うん?」
調べ物をしようとして書庫から持ってきた本を机に置いた拍子に、ひらりと何かが床に落ちた。
―――…? 写真…?
床に落ちた一枚の写真を拾い上げて僕は眉を顰めた。
そこに写っている人物。
それは僕がよく知っている―――彼だった。
しかし、今と比べて新緑の瞳は心なしに大きく、顔立ちも幼い。
あどけない表情で微笑んでいるその姿は……まるで天使が微笑んでいるようで。
何故こんな写真が本に挟んであったのか。
思う事は沢山あるが、今そんな事を考えてもどうしようもないのも解っている事で。
―――確か、アルバムが在った筈だな…。
ふと思い立って僕は自分が持っているアルバムが収まっている本棚へと足を向けた。
「……ふむ」
僕はおやつを運んできたセレストの横顔をじっと見ていた。
こうしてみると……やはり写真の面影は所々残っている。
流石に輪郭は大人の男の其れになってはいるが。
伏せると意外に長い睫毛が表情に影を落として。
「…? どうかされましたか? カナン様」
お茶の用意をしていたセレストが僕の視線に気付いたのか、困惑したような表情で問い掛 2184