minnna_okome
TRAINING・ファンタジーパロディ・魔王×勇者パーティの一人
・ゾが喋らない天蓋の付いたベッドに男が寝ている。短い緑髪がシーツに広がり、隻眼はしっかりと閉じられている。身動ぎに従って、ちりん、とその左耳の金のピアスが鳴った。
低い音を立てて扉が開く。現れた男は禍々しい角を頭上に抱きローブを引きずりながらベッドへと近づく。男がベッドに座れば、その振動を吸収したスプリングがゆっくりと揺れる。それでも男が目覚めることはない。
角の付いた男がタトゥーだらけの掌で緑髪の男の頭を撫でる。優しく柔らかく愛おしげに。
「嗚呼。ゾロ屋。早く目覚めてくれ」
優しくて緩やかで愛に溢れていて。
「早くお前に世界の終わりを見せてやりたい」
狂気に満ちていた。 282