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MAIKINGヴィミゼ(+くらい) /TOC最低、と罵られることには慣れていたし、それが自分のアイデンティティになっていたことはおそらく事実だと思った。いつものやりとり。くだらない喧嘩。逸れていく話題の数々。ヴィシャスにとって意味のないやりとりはミゼラにしてみれば憎々しいものなのだろう。二言目には殺すわよ、と物騒な言葉を向けられる。それでも、ヴィシャスは楽しそうに笑う。だから、これもちょっとした冗談のつもりだったのだ。
肩でも揉むか、と冗談混じりの言葉はにべもなく払われた。未成熟な女の体になど興味はなくーー成人してようが興味がない女の体に触れたいと思う情欲を持ち合わせてはいないけれどーーそれはコミュニケーション然とした言葉のやりとりだけのつもりだった。
触れてしまったのは本当に事故としか言いようがなく、たまたま庇うような形になってしまっただけのこと。後衛から術と銃で撹乱していた二人を狙った攻撃に、ミゼラの防御態勢が間に合わなかった。
一行で唯一の回復術を持っているミゼラを負傷させるわけにはいかなかった。蹴り飛ばすことも考えたがそれよりも腕の方が自由が効く。細い肩を抱き寄せて覆い被さり、投擲された武器を銃で跳ね返す。バァン、 1334