zoutokani
MAIKING兄の日だから書きかけのしょたおに(ジュナカル)何歳差か分からなくなっている
ピオ先生もいる14
プロローグ
思い返すほど、不自然なシチュエーションであったのだ。
カルナと二人で暮らしていた頃がある。何でもしてくれた。毎日温かい食事を整えてくれて、話を聞いてくれて、あたたかな毛布で眠ることも、季節に合わせた服を着ることも、不自由なく与えられて育った。
色々な所へ連れ出してくれた。海も川も山も、美術館も博物館も、お祭りもお花見も。だけど一番好きだったのは、晴れた日に手を繋いで、何もない近所の公園に行くことだった。
海も川も山も美術館も博物館もお祭りもお花見にだって、連れて行ってくれるだけ。カルナはそこには居なかった。でも公園になら一緒に歩いて行けたから、それが一番嬉しかったんだ。
朝起きて、今日は、「かいすいよく」だと言って、沢山体を動かすからと、大きなおにぎりをお皿に並べるものだから、必死でほおばった。海に行くのはその日が初めてだったけど、全然楽しみじゃなくて、胸が詰まりそうなのを堪えながら麦茶で流し込む。
カルナはその日も何も食べず、中身が見える透明な鞄に、子供用の水着とかタオルとか、空気で膨らますビニールボールとかを詰めて支度をしていたと思う。
助手席 2265