mctk2kamo10
DOODLEもう何を投稿して何を投稿してないのかわかんなくなってきたので今日でひとまず連続再投稿終わり!今後は気が向いたときに。最後はお気に入りのミルナタ(道タケ)
月影の王 音さえも凍ったように冷えている。民に限らず、家畜も家禽も、王や太陽さえも眠り、流れる川の音だけが温度を残してごうごうと響いている。世界にたったひとりになってしまったような錯覚を抱きながら、反乱の子は王宮から町を見下ろした。
視野の狭窄な、王であった。ナタケイルにはその自覚がある。目の前の民を守るため、外交に目を向けなかった。王族として生まれたというのに、そのための教育も受けてきたというのに、兄があまりにも民を省みぬものだから、半ば躍起になって「民」に固執した。国の外が見えなくなっていた。そして反乱を起こしたのだ。二度も、血の繋がった兄に刃を向けた。
町にかざした手を見つめる。ぐっと握る。人を殺すことが罪だとは言わない。だが、兄弟を殺めることは、殺める覚悟ができることそのものは、少なからず、罪だと思えた。
14758視野の狭窄な、王であった。ナタケイルにはその自覚がある。目の前の民を守るため、外交に目を向けなかった。王族として生まれたというのに、そのための教育も受けてきたというのに、兄があまりにも民を省みぬものだから、半ば躍起になって「民」に固執した。国の外が見えなくなっていた。そして反乱を起こしたのだ。二度も、血の繋がった兄に刃を向けた。
町にかざした手を見つめる。ぐっと握る。人を殺すことが罪だとは言わない。だが、兄弟を殺めることは、殺める覚悟ができることそのものは、少なからず、罪だと思えた。