むつき
DONEクニヨシの漫画製本を手伝うリヒトイベント開催11時間前 コピー機を通過してきたばかりの紙は、インクも黒々として熱かった。そのうちの一枚を手に取って眺めるリヒトのかたわら、漫画の続きは次から次へとコピー機から吐き出され、どんどんと積み上がっていく。
描き込まれている人物やフキダシは、どれも存分に描き手の情熱を伝えていた。生き生きとした表情、疾走感のあるコマ割り。毛並みは緻密に描き込まれ、広げた手のひらにある肉球は丸くつややかで、いかにもやわらかそうだった。
「それでひとセットだから! たくさんあって悪いんだけど、頼りにしてるね!」
溌剌としたクニヨシの声を受けて、リヒトは我に返る。目の前に積み上がる紙の山。ふたのあいた段ボール箱。先ほどカーテンごしに確かめた空に浮かぶ月は、リヒトの頭上高くに輝いていた。
971描き込まれている人物やフキダシは、どれも存分に描き手の情熱を伝えていた。生き生きとした表情、疾走感のあるコマ割り。毛並みは緻密に描き込まれ、広げた手のひらにある肉球は丸くつややかで、いかにもやわらかそうだった。
「それでひとセットだから! たくさんあって悪いんだけど、頼りにしてるね!」
溌剌としたクニヨシの声を受けて、リヒトは我に返る。目の前に積み上がる紙の山。ふたのあいた段ボール箱。先ほどカーテンごしに確かめた空に浮かぶ月は、リヒトの頭上高くに輝いていた。