zeppei27
DONE一次創作〜美味しいものを知っている才能あふれる男と、美味しいものを食べさせてもらうという関係を続けてきたその平凡な友人。天才が作る食事に友人が招待された、ある日のお話。
死に至る美食 早乙女佑月という男は、妙な人間だった。物心着く頃から、何が美味しいものか、最も美味しいかを瞬時に見分ける才能があった。ひょっとすると乳幼児の頃からだったかもしれない。庭の木を見てはいつ頃栗が熟れ時か、どれから収穫すべきかを鳥よりも早く見分けて周囲に頼んでいた。最初は半信半疑だった大人たちも、何回か続くと流石に信じるようになって、佑月の才能は天与のものだと一目置くようになった。
見慣れた庭や畑だけではない。山に入れば酸っぱくない山葡萄や小粒の茱萸をすぐに見つけたし、あちこちに旅行した先でも美味しいものだけにありついた。生まれた日が同じだったというだけで隣に並んで生きてきた僕は、ただ横で甘露を貪る日々だった。
5073見慣れた庭や畑だけではない。山に入れば酸っぱくない山葡萄や小粒の茱萸をすぐに見つけたし、あちこちに旅行した先でも美味しいものだけにありついた。生まれた日が同じだったというだけで隣に並んで生きてきた僕は、ただ横で甘露を貪る日々だった。