kimitsu
DOODLE紙端国体劇場様の設定をお借りしています。これから付き合ううつにこの導入部分です。
うつにこ(1) 栗橋駅にて1 栗橋駅にて
「そういうの、やめたほうがいい」
目の前の男、東武日光線は、感情をすべてどこかに落としてきてしまったかのような表情でそう言った。不覚にも一瞬戸惑ってしまい、不自然な間をあけてしまったことを後悔する。
「……そういうの、って何?」
日光は、彼の襟に触れていた僕の右手を優しく取り、太ももの横へ、そっと腕を下ろさせた。自然、気をつけのような姿勢になる。
「勘違いするやつだっている。気をつけた方が良い」
僕は日光の首元を見つめる。襟が、内側に入り込んでしまっている。ただその襟を正してやりたかっただけだ。もちろん下心なんてない。僕によく似たあいつもよくやるな、なんて思ったものだから、距離感を少し見誤ったかもしれない、ことは反省しないでもない。けれど、こんなふうに冷たく説教じみた言葉をもらう謂れはないだろう、と苛立ちが生まれる。
968「そういうの、やめたほうがいい」
目の前の男、東武日光線は、感情をすべてどこかに落としてきてしまったかのような表情でそう言った。不覚にも一瞬戸惑ってしまい、不自然な間をあけてしまったことを後悔する。
「……そういうの、って何?」
日光は、彼の襟に触れていた僕の右手を優しく取り、太ももの横へ、そっと腕を下ろさせた。自然、気をつけのような姿勢になる。
「勘違いするやつだっている。気をつけた方が良い」
僕は日光の首元を見つめる。襟が、内側に入り込んでしまっている。ただその襟を正してやりたかっただけだ。もちろん下心なんてない。僕によく似たあいつもよくやるな、なんて思ったものだから、距離感を少し見誤ったかもしれない、ことは反省しないでもない。けれど、こんなふうに冷たく説教じみた言葉をもらう謂れはないだろう、と苛立ちが生まれる。
kimitsu
DOODLEにこひびについて自分なりに考えてみました。二人とも本命が別にいて、それでも幸せに、一緒にいてほしいです。
二人を取り持つ伊勢崎さんが登場します。
日比谷ちゃんが体調不良という表現があります。
※紙端国体劇場様の設定をお借りしています。
きっとうまくやれるから「一度、試してみてよ」
「連絡してきたと思ったら」
すぐそばから、ため息混じりの声が降ってくる。
「ごめん、他にはちょっと頼みづらくって」
日光に遠慮がちに寄りかかりながら、重い体を引き摺るようにして前に進む。日光は僕の腰に手を回している、けれどそれは色っぽさなんてものは皆無で、完全に介助のそれで。
今日僕は、検査を受けるために大きな病院に行っていた。想像していたよりも体への負担は大きかったようで、まっすぐ進もうと思っているのに千鳥足になってしまう。
都会の喧騒の中、大の男二人が横並び、顔を顰めた人々に避けられながら駅の方へ進んでいく。
「まさか呼び出された先が病院とは思わなかった。 身内にも連絡したほうがいいんじゃないのか?」
5039「連絡してきたと思ったら」
すぐそばから、ため息混じりの声が降ってくる。
「ごめん、他にはちょっと頼みづらくって」
日光に遠慮がちに寄りかかりながら、重い体を引き摺るようにして前に進む。日光は僕の腰に手を回している、けれどそれは色っぽさなんてものは皆無で、完全に介助のそれで。
今日僕は、検査を受けるために大きな病院に行っていた。想像していたよりも体への負担は大きかったようで、まっすぐ進もうと思っているのに千鳥足になってしまう。
都会の喧騒の中、大の男二人が横並び、顔を顰めた人々に避けられながら駅の方へ進んでいく。
「まさか呼び出された先が病院とは思わなかった。 身内にも連絡したほうがいいんじゃないのか?」