60_chu
DOODLE過去作あんわか
Ribbon 最初はあんだった。人ごみの中からあんを探そうと目を凝らしていると名前を呼ばれた。振り返るとシニヨンを二つ耳の上に作ったあんがいた。
「ヘンかな。おそろい」
「ううん」
わたしはそう答えるのがせいいっぱいだった。べるのためにその場しのぎではじめたヘアスタイルはべると一緒にいる間にわたしのスタイルになった。それは髪型だけじゃなくてしゃべり方も服装もそうだった。誰かのためにいつも自分を変えてきて、それが嫌なわけではなかったけどなんだか自分が自分じゃないみたいな気分になることもあったのだ。
「どうして」
「わかながしてるの見てたらかわいいなって思ったんだ」
へえとかふうんとかそんな相槌を打ちながらわたしは嬉しくて飛び上がりそうだった。頑固で自分に正直なあんがわたしと同じヘアスタイルをしているのは面と向かって好きと言われるより照れてしまう。ショーウィンドウに映る私たちは首から上が双子みたいだった。
2073「ヘンかな。おそろい」
「ううん」
わたしはそう答えるのがせいいっぱいだった。べるのためにその場しのぎではじめたヘアスタイルはべると一緒にいる間にわたしのスタイルになった。それは髪型だけじゃなくてしゃべり方も服装もそうだった。誰かのためにいつも自分を変えてきて、それが嫌なわけではなかったけどなんだか自分が自分じゃないみたいな気分になることもあったのだ。
「どうして」
「わかながしてるの見てたらかわいいなって思ったんだ」
へえとかふうんとかそんな相槌を打ちながらわたしは嬉しくて飛び上がりそうだった。頑固で自分に正直なあんがわたしと同じヘアスタイルをしているのは面と向かって好きと言われるより照れてしまう。ショーウィンドウに映る私たちは首から上が双子みたいだった。