やなぎ くみこ
DONE刺客と対峙して大怪我を負ったカリジャミの話#かたすな_二時間の宴
※この後ちゃんと元気になるので安心してください
雨宿り ぽっかりと空いた穴から糸のような雨が降り続いているのが見えた。
ジャミルはそれを息絶え絶えに眺める。力を使い果たして体を動かすことも億劫だ。
「大丈夫か、カリム」
カリムは、ジャミルと体二つ分ほど離れたところに転がっている。ジャミルよりもその状態は悪く、腹から流れる血は致命傷になりうるほど流れて血溜まりを作っていた。
「おい、返事しろよ」
「……眠っていただけ。大丈夫だ」
「眠るなよ……もうすぐ応援が来るからしっかりしろ。それまで俺と話でもしていよう。いいか?」
「おう」
息を吐くような返事だった。カリムの声は今や微かに聞こえる雨音にすら負けてしまいそうで、それがジャミルの心を忙しなくさせる。
こんな時くらいカリムが喜びそうな楽しい話をしてやろうと思うのに、感情が逆立って大した言葉も出てこない。こいつのことは何でも知っているはずなのに、俺はこんな時に一体、何を言えばいいのだろう。
1045ジャミルはそれを息絶え絶えに眺める。力を使い果たして体を動かすことも億劫だ。
「大丈夫か、カリム」
カリムは、ジャミルと体二つ分ほど離れたところに転がっている。ジャミルよりもその状態は悪く、腹から流れる血は致命傷になりうるほど流れて血溜まりを作っていた。
「おい、返事しろよ」
「……眠っていただけ。大丈夫だ」
「眠るなよ……もうすぐ応援が来るからしっかりしろ。それまで俺と話でもしていよう。いいか?」
「おう」
息を吐くような返事だった。カリムの声は今や微かに聞こえる雨音にすら負けてしまいそうで、それがジャミルの心を忙しなくさせる。
こんな時くらいカリムが喜びそうな楽しい話をしてやろうと思うのに、感情が逆立って大した言葉も出てこない。こいつのことは何でも知っているはずなのに、俺はこんな時に一体、何を言えばいいのだろう。
やなぎ くみこ
DONE #かたすな_二時間の宴お題「信じられない」
子作りセする前のカリジャミ※男体妊娠前提です
信じられない「本当にこんなものが作れるんだな」
掌の中には普通の風邪薬と変わらない大きさの錠剤がある。目の前のアズールはそれはもう得意満面の笑みで気取ったポーズを取った。
「ええ、我が社で長年試行錯誤をして完成させたものです。きっと貴方のご期待に添えると思いますよ」
「……副反応とか、薬が原因で最悪死んだなんてケースは?」
「そんな危ないものをご案内するわけがないでしょう。弊社の沽券に関わります」
大人になってからも、腹を立てた時に眉を釣り上げる癖は変わっていないようだった。そして後ろに控えていたジェイドがこれまた初見殺しの笑みで続けた。
「体内に入れるものですから不安になるのも当然ですよね。ですが、この薬は本当に安全なものです。人によっては副作用として眠気や吐き気が起こる場合がありますが、それはどの薬だって同じでしょう?」
2083掌の中には普通の風邪薬と変わらない大きさの錠剤がある。目の前のアズールはそれはもう得意満面の笑みで気取ったポーズを取った。
「ええ、我が社で長年試行錯誤をして完成させたものです。きっと貴方のご期待に添えると思いますよ」
「……副反応とか、薬が原因で最悪死んだなんてケースは?」
「そんな危ないものをご案内するわけがないでしょう。弊社の沽券に関わります」
大人になってからも、腹を立てた時に眉を釣り上げる癖は変わっていないようだった。そして後ろに控えていたジェイドがこれまた初見殺しの笑みで続けた。
「体内に入れるものですから不安になるのも当然ですよね。ですが、この薬は本当に安全なものです。人によっては副作用として眠気や吐き気が起こる場合がありますが、それはどの薬だって同じでしょう?」