夜間科
DOODLE【まつさみ】松井が五月病に罹ったようです。事務刀にかわいがられ犬。視線が痛い。さっきからまったく手が動いていないことを、無言のうちに咎められている。ただそんなふうに見られても困るのはこちらの方だ。ねめつけられたくらいでやる気が出るのなら苦労はない。
「どうかしましたか、松井。貴方らしくありませんね」
「僕がそんなに勤勉に見えるかい」
「違うのですか」飼い犬は無表情のまま首を傾げてみせた。
「僕だって怠けたい時くらいある。……さみ、おいで。遊ぼう」
「まったく、悪い人ですね」
口では一応の非難をしつつ、松井の事務仕事にさして興味はないのだろう。構ってもらえる喜びを声に滲ませた五月雨は、とうとう机に背を向けた飼い主の腕の中へ収まった。ほうと柔らかく息を吐いた松井の頬に擦り寄る。「かわいいね」と掠れ気味の低い声が囁けば、一途な犬はその顔に幸福の色を浮かべてしまう。五月雨の脳はどうやらその言葉を最大級の賛辞だと誤解してしまっているようだった。
2224「どうかしましたか、松井。貴方らしくありませんね」
「僕がそんなに勤勉に見えるかい」
「違うのですか」飼い犬は無表情のまま首を傾げてみせた。
「僕だって怠けたい時くらいある。……さみ、おいで。遊ぼう」
「まったく、悪い人ですね」
口では一応の非難をしつつ、松井の事務仕事にさして興味はないのだろう。構ってもらえる喜びを声に滲ませた五月雨は、とうとう机に背を向けた飼い主の腕の中へ収まった。ほうと柔らかく息を吐いた松井の頬に擦り寄る。「かわいいね」と掠れ気味の低い声が囁けば、一途な犬はその顔に幸福の色を浮かべてしまう。五月雨の脳はどうやらその言葉を最大級の賛辞だと誤解してしまっているようだった。