jd1011wanwan
DONEジャククルバレンタインカードのお返しネタ
※カードの文面は載せていませんが、とある文言から膨らませたお話 用意をした贈り物は靴用クロスとクリームにブラシ。それらがすっきりと収まった箱につけたカードは5回書き直しをした。
もちろん大した内容は書いていない。好きだと伝えるなんてもってのほかで、授業の感想ですら油断をしたら想いが滲んでしまうんじゃないかと記すことは出来なかった。
結果として紙面に残ったのは、贈り物へつける一般的なフレーズのみだ。
何ならカード類には、最初から印字されていてもおかしくないような定型文を、慎重に一次ずつ書いていき、自分の名前を記そうとしたところで思い留まった。
「――何やってんだ、俺は」
そもそも家族以外への贈り物など初めてのくせに、イベントごとにかこつけて用意して渡そうなどと、周りがバレンタインだなんだと浮かれ、その空気にあてられてしまったんだろうか。
まったくもって自分の柄じゃない。
そう思うと急に恥ずかしくなり、衝動的に箱を掴みゴミ箱へ棄ててしまいたくなる。けれどそれを思いとどまらせたのは、贈り物を選んだときに脳裏に描いた姿で、贈り主として名乗らなければ良いだけの事だと無理矢理自分を納得させた。
「……すげえ量だな」
忍び込んだ魔法薬学室のデスク 2496