ナカマル
DONE #九莇村ワンドロワンライ より 「雨上がり」#ナカマルのクアザ
哀々傘 ◇◆──────────
別に、傘なんて要らなかった。
「今日は大雨が降るのか……」
今朝、キッチンに立つ臣さんが言った。
「へー。夕立ってやつ? 長い傘持って行ったほうがいいな」
俺がそう言うと、独り言のつもりだったらしく、臣さんは少し驚いていた。
「まぁ、莇たちが帰る頃には止んでいるかもしれないが。もし降られても、寮のLIMEに連絡すれば、誰かしら車を出してくれると思うぞ」
「子供じゃねーし、そこまで甘えなくても平気。でも、ありがと」
「はは、そうだな。ほら、今日の弁当だ。九門の分も」
「サンキュ。忙しいのにわりーな」
いつも通りなら少し余裕を持って朝食を摂れる時間だったが、今朝の九門は日直で早く出なければならないからと、既にテーブルについてトーストを頬張っていた。だから、俺と臣さんの会話は聞いていなかったと思う。
3608別に、傘なんて要らなかった。
「今日は大雨が降るのか……」
今朝、キッチンに立つ臣さんが言った。
「へー。夕立ってやつ? 長い傘持って行ったほうがいいな」
俺がそう言うと、独り言のつもりだったらしく、臣さんは少し驚いていた。
「まぁ、莇たちが帰る頃には止んでいるかもしれないが。もし降られても、寮のLIMEに連絡すれば、誰かしら車を出してくれると思うぞ」
「子供じゃねーし、そこまで甘えなくても平気。でも、ありがと」
「はは、そうだな。ほら、今日の弁当だ。九門の分も」
「サンキュ。忙しいのにわりーな」
いつも通りなら少し余裕を持って朝食を摂れる時間だったが、今朝の九門は日直で早く出なければならないからと、既にテーブルについてトーストを頬張っていた。だから、俺と臣さんの会話は聞いていなかったと思う。