zeppei27
DONEなんとなく続いている主福で、単品でも読めます。伊賀七、サトウも交えて美味しいお茶会をする可愛い小話です。箸休めにどうぞ!>前作:『人でなしの恋』https://poipiku.com/271957/10460632.html
>まとめ https://formicam.ciao.jp/novel/ror.html
女王に捧げる菓子 食とは探訪であり、未知との遭遇でもある。雪深く閉鎖的な里を出奔した隠し刀にとって、片割れを求めての当てずっぽうで必死な旅路は出会いの連続だった。新鮮な海産物、奢侈故滅多に口にすることのなかった甘味、舶来のものなど、数え上げればキリがなく、思い浮かべば共にした出来事が脳裏を過ぎる。自分は食べ物の好き嫌いなどないと思っていたが、存外舌が奢ったと気づいた時に苦笑したものだ。
いつぞや思わずその旨こぼしたところ、傍で煙草を吸っていた福沢諭吉は呆れることなく、むしろ慈しむような眼差しを浮かべたことが思い出される。
「いいじゃありませんか。好悪の感情は個人のものですよ、あなただけのね」
「ああ。中でも諭吉が一等好きだ」
3314いつぞや思わずその旨こぼしたところ、傍で煙草を吸っていた福沢諭吉は呆れることなく、むしろ慈しむような眼差しを浮かべたことが思い出される。
「いいじゃありませんか。好悪の感情は個人のものですよ、あなただけのね」
「ああ。中でも諭吉が一等好きだ」