shiki_poi
SPOILER弟子バロ現パロ本に寄稿させていただいたものです。現パロでも検事と検事な、もう少しだけ踏み込みたい二人。(そこまでしといて何を躊躇しているのか…?)
ありがとうございましたー!
[弟子バロ]コーヒーの用意もなくはない午前七時四五分 自転車の鍵をポケットにねじ込んでカフェの扉を開けると、コーヒーの芳ばしいかおりがした。
近年は紅茶の国にも、美味いコーヒーを出す店が増えてきたという。亜双義自身は、特にコーヒーにも紅茶にもこだわりはない。検事局の向かいにも有名チェーンのカフェがあるため、少し離れたところにあるこの店では職場の人間にあまり遭遇しない……というのが、亜双義にとって利点のひとつだった。
しかし、このカフェには《常連》とも言うべき検事が他にもいるのである。
検事局の大多数の人間が、出勤前の朝食時に顔を合わせたくはないであろう男。亜双義にとっては、越えるべき相手と見定めている検事。
少し古めかしいデザインのスーツを着こなしたバロック・バンジークスは、今日も奥から二番目、壁際の席を陣取っていた。
6303近年は紅茶の国にも、美味いコーヒーを出す店が増えてきたという。亜双義自身は、特にコーヒーにも紅茶にもこだわりはない。検事局の向かいにも有名チェーンのカフェがあるため、少し離れたところにあるこの店では職場の人間にあまり遭遇しない……というのが、亜双義にとって利点のひとつだった。
しかし、このカフェには《常連》とも言うべき検事が他にもいるのである。
検事局の大多数の人間が、出勤前の朝食時に顔を合わせたくはないであろう男。亜双義にとっては、越えるべき相手と見定めている検事。
少し古めかしいデザインのスーツを着こなしたバロック・バンジークスは、今日も奥から二番目、壁際の席を陣取っていた。
shiki_poi
SPOILER短い弟子(従者)×師匠ばっかりまとめました。カップリング色は薄いものから、ピロートークまで。
[弟子バロ]倫敦師弟小話 弐ここは譲ってあげない「いい子だ」
そう言って目を細めながら、バンジークス卿が膝の上の猫を撫でている。猫も心地よさそうな顔だ。
想い人の膝や視線、てのひらを独占している猫。触れたり触れられたり……俺が猫だったらできただろうか。だが俺は、決して猫になりたいなどと羨まない。
最高の検事の一番弟子として、彼に学び追いつき、やがて肩を並べてその背を支えてみせるのだから。
やわらかな毛皮で癒せなくとも、きっとバロック・バンジークスにふさわしい男になる。
「んっ……くすぐったいな」
…………こら猫、その男の指を舐めるんじゃない。羨ましいやつめ!
桜吹雪のごとく「日本では花見といえば桜なのだが」
10805そう言って目を細めながら、バンジークス卿が膝の上の猫を撫でている。猫も心地よさそうな顔だ。
想い人の膝や視線、てのひらを独占している猫。触れたり触れられたり……俺が猫だったらできただろうか。だが俺は、決して猫になりたいなどと羨まない。
最高の検事の一番弟子として、彼に学び追いつき、やがて肩を並べてその背を支えてみせるのだから。
やわらかな毛皮で癒せなくとも、きっとバロック・バンジークスにふさわしい男になる。
「んっ……くすぐったいな」
…………こら猫、その男の指を舐めるんじゃない。羨ましいやつめ!
桜吹雪のごとく「日本では花見といえば桜なのだが」