chiocioya18
DONE雨想。晴白です。感情を勉強中の白と、自覚を期待する晴明。
雨音しと、しと、しと。弱い雨が降っている。遣水の縁で蛙が跳ねる。
晴明は渡殿を歩みながら、中庭の池にいくつも広がる波紋を眺めていた。晴明にとっては雨を読むなど容易い。何時降るのかも、何時止むのかもわかっている。この雨も夜までは続かない。それまで雨音に耳を傾けるのもよかろうと、ゆったりと視線を巡らせる。するとふと、庭の端にひっそりと立つ水干姿を見つけた。
「白。何をしている」
「主様」
問いかけに振り向いた顔は感情を映さない。否、元々式神に感情は無い。それだけ聞けば冷たいように思われるが、狡猾さや虚栄心も無い分嘘もつかない、素直なものだ。現に今、晴明の問いに対して真っ直ぐな答えを返す。
「雨に打たれておりました」
1295晴明は渡殿を歩みながら、中庭の池にいくつも広がる波紋を眺めていた。晴明にとっては雨を読むなど容易い。何時降るのかも、何時止むのかもわかっている。この雨も夜までは続かない。それまで雨音に耳を傾けるのもよかろうと、ゆったりと視線を巡らせる。するとふと、庭の端にひっそりと立つ水干姿を見つけた。
「白。何をしている」
「主様」
問いかけに振り向いた顔は感情を映さない。否、元々式神に感情は無い。それだけ聞けば冷たいように思われるが、狡猾さや虚栄心も無い分嘘もつかない、素直なものだ。現に今、晴明の問いに対して真っ直ぐな答えを返す。
「雨に打たれておりました」