飛鳥11 【右🐉】
HECHO永斎。(冴桐)維新極ベースですが、ご都合謎軸。
以前Xで呟いた内容をベースに。
まだお互いの素性を知らないあたりで、斎藤が兄弟の死を知った…という設定。
どうしても書いてみたいシチュエーションだったので、細かい事を抜きにして読んでいただけたら🙏
蛇目傘の下、ふたり 空はどんよりと曇っている。
今日は隊務の見廻りの日で。二番隊を任されている永倉は数名の隊士を連れ、洛外を一通り廻り終えたところであった。
「今にも降り出しそうな空ですね」
重暗い鼠色の空を仰ぎながら、一人の隊士が溜息をつく。
「なんや、自分、雨は好かんか?」
「そりゃぁ…。着物は濡れるし、足元も悪くなりますし……いい事でもないでしょう」
「さよか」
「?隊長は……もしかして、雨、お好きなんで?」
「俺か?俺は……」
何か含んだような物言いをして…。永倉はハッとしたように口を噤んだ。
「隊長?」
普段であれば、どんなことにも迷わず発言する男のらしくない仕草に、隊士が首を傾げる。
「あ、いや。なんでもあらへん」
さ、この辺りは特に異常もないようやし、一雨来る前に屯所へ戻るで。永倉は心に生まれた少しの動揺を誤魔化すように、ぱんぱんと手を打ちながら隊士達へと声を張り上げた。
6541今日は隊務の見廻りの日で。二番隊を任されている永倉は数名の隊士を連れ、洛外を一通り廻り終えたところであった。
「今にも降り出しそうな空ですね」
重暗い鼠色の空を仰ぎながら、一人の隊士が溜息をつく。
「なんや、自分、雨は好かんか?」
「そりゃぁ…。着物は濡れるし、足元も悪くなりますし……いい事でもないでしょう」
「さよか」
「?隊長は……もしかして、雨、お好きなんで?」
「俺か?俺は……」
何か含んだような物言いをして…。永倉はハッとしたように口を噤んだ。
「隊長?」
普段であれば、どんなことにも迷わず発言する男のらしくない仕草に、隊士が首を傾げる。
「あ、いや。なんでもあらへん」
さ、この辺りは特に異常もないようやし、一雨来る前に屯所へ戻るで。永倉は心に生まれた少しの動揺を誤魔化すように、ぱんぱんと手を打ちながら隊士達へと声を張り上げた。