romuro_01
DONE2025/6/15 【炯炯と光る暁月よ】にて配布したペーパーです。
気になった部分と、誤字脱字を修正しています。
たまには甘い息抜きを丁度煙草を吸い終わったところだった。インターホンが鳴って、ドアが開く音がした。アジトに出入りする人間で、そんな律儀なことをするヤツは一人しか心当たりがない。
換気扇から離れてキッチンを出ると、そこには思い浮かべていた人物がちょうど玄関から歩いてきたところだった。
「どうした」
こんな遅くに。そう言外に含ませた言葉の意味は、恐らく正確に伝わったはずだ。終電にはまだ早いが、飲み会ならそろそろお開きしてもいい時間には違いなかった。
「友達と渋谷に来てたんだ。帰るついでにKKの残業を労おうと思って」
ずい、と目の前に突き出された暁人の手には大きめのビニール袋。その中に入っているのは菓子用の化粧箱だ。よく見るとドーナツの写真が印刷された、CMでも見たことがあるドーナツチェーンの箱だった。しかも二箱。恐らく十個以上のドーナツが収められているはずだ。おおかた妹と二人で食べるつもりで買ったのだろうが、明らかに買い過ぎだ。
1939換気扇から離れてキッチンを出ると、そこには思い浮かべていた人物がちょうど玄関から歩いてきたところだった。
「どうした」
こんな遅くに。そう言外に含ませた言葉の意味は、恐らく正確に伝わったはずだ。終電にはまだ早いが、飲み会ならそろそろお開きしてもいい時間には違いなかった。
「友達と渋谷に来てたんだ。帰るついでにKKの残業を労おうと思って」
ずい、と目の前に突き出された暁人の手には大きめのビニール袋。その中に入っているのは菓子用の化粧箱だ。よく見るとドーナツの写真が印刷された、CMでも見たことがあるドーナツチェーンの箱だった。しかも二箱。恐らく十個以上のドーナツが収められているはずだ。おおかた妹と二人で食べるつもりで買ったのだろうが、明らかに買い過ぎだ。