センヂ
LÀM XONG #白檀の庭-月来香初項
初項 尊大な夏の死ぬ頃に 焼香の香りと雨天によるしけった匂いとが混ざり合い、式場の空気は刻一刻と重苦しく沈んでいった。
鯨幕の引かれた大広間の最奥に、白い供花で埋められた祭壇が佇んでいた。そのすぐ面前に、男と女、そして十歳そこそこの白い髪の子供が大人しく座っている。そしてその後ろには、数多の人々が一定のまとまりを形成して座している。その数は祭壇の前に座る三人を含めて、九つあった。
かつて、病に喘ぐ多くの人を救うため、医学を修める九つの家を束ねて結ばれた盟約があった。その昔は山に潜んだ神仙の系譜であったとか……迷信じみた伝承が薄れるほどの歳月、細々と存続してきた一族は現在、それぞれの家の特色に合わせた医療分野を修める伝統を持つに至った。
3714鯨幕の引かれた大広間の最奥に、白い供花で埋められた祭壇が佇んでいた。そのすぐ面前に、男と女、そして十歳そこそこの白い髪の子供が大人しく座っている。そしてその後ろには、数多の人々が一定のまとまりを形成して座している。その数は祭壇の前に座る三人を含めて、九つあった。
かつて、病に喘ぐ多くの人を救うため、医学を修める九つの家を束ねて結ばれた盟約があった。その昔は山に潜んだ神仙の系譜であったとか……迷信じみた伝承が薄れるほどの歳月、細々と存続してきた一族は現在、それぞれの家の特色に合わせた医療分野を修める伝統を持つに至った。