NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題:「溺れる」
主要時間:1時間12分
注意事項:まだ知己
忘羨ワンドロワンライ【溺れる】「なんだなんだ、藍湛、拗ねてるのか?」
魏無羨は静室に上がり込むなり藍忘機の袖を引いた。藍忘機は俯いたまま、小さく首を振る。
辺境からの旅を終え、魏無羨は雲深不知処へと事の顛末を報告に来た。崖の上で笛を吹いていたところに藍忘機が迎えに来た時は、いつもの無表情ながらそれなりに機嫌は良さそうだったのだが、魏無羨が藍啓仁に挨拶し、旅のついでに手ずから作ったという茉莉花の茶を土産として手渡した辺りからしだいに雲行きが怪しくなった。
せっかくだから煎れてみよと藍啓仁に請われ、魏無羨は『これは煮出さないのだ』と言って、火から茶瓶を外すと、そこに茶を加えた。途端に華やかな若葉と花の香が部屋に満ちる。無類の茶好きの藍啓仁は、たまにはこのような雅趣も良かろうと大いに喜び、閉関中の藍曦臣に分けてやろうと茶筒を取り出そうとした。すると、魏無羨は懐から小さな瓢箪を出し、こっちが藍宗主の分だと言って藍啓仁に渡したのだ。傷みやすいため瓢箪には術を施してあると言う。
2548魏無羨は静室に上がり込むなり藍忘機の袖を引いた。藍忘機は俯いたまま、小さく首を振る。
辺境からの旅を終え、魏無羨は雲深不知処へと事の顛末を報告に来た。崖の上で笛を吹いていたところに藍忘機が迎えに来た時は、いつもの無表情ながらそれなりに機嫌は良さそうだったのだが、魏無羨が藍啓仁に挨拶し、旅のついでに手ずから作ったという茉莉花の茶を土産として手渡した辺りからしだいに雲行きが怪しくなった。
せっかくだから煎れてみよと藍啓仁に請われ、魏無羨は『これは煮出さないのだ』と言って、火から茶瓶を外すと、そこに茶を加えた。途端に華やかな若葉と花の香が部屋に満ちる。無類の茶好きの藍啓仁は、たまにはこのような雅趣も良かろうと大いに喜び、閉関中の藍曦臣に分けてやろうと茶筒を取り出そうとした。すると、魏無羨は懐から小さな瓢箪を出し、こっちが藍宗主の分だと言って藍啓仁に渡したのだ。傷みやすいため瓢箪には術を施してあると言う。