two_of_mam
DONE千年の青 夏夏のバイクを借りて阿翔が天宇を乗せて連れてきたのは、鬱蒼とした森の中にある──長年この場所にひっそりと佇んでいたのだろうと思わせる──朽ちた建物だった。
天井はとうに崩れ落ち、青々とした緑が空を覆っている。
眩しい太陽の光は、深緑の梢の間からこぼれ落ちる過程で眩しさをなくし、柔らかい光となって森の中を照らしている。
ところどころ淡い光が当たる古びた建物は、神聖で厳かな雰囲気を湛えていた。
天宇は、はぁと自然にこぼれ落ちた感嘆の溜息をつきながら、蔦が這う壁を仰ぎ見る。
じっと黙って後ろに立っていた阿翔が天宇の肩越しに話しかけてきた。
「天宇。目、瞑って」
「?……なぜ?」
「いいから!見せたいものがあるんだ」
1423天井はとうに崩れ落ち、青々とした緑が空を覆っている。
眩しい太陽の光は、深緑の梢の間からこぼれ落ちる過程で眩しさをなくし、柔らかい光となって森の中を照らしている。
ところどころ淡い光が当たる古びた建物は、神聖で厳かな雰囲気を湛えていた。
天宇は、はぁと自然にこぼれ落ちた感嘆の溜息をつきながら、蔦が這う壁を仰ぎ見る。
じっと黙って後ろに立っていた阿翔が天宇の肩越しに話しかけてきた。
「天宇。目、瞑って」
「?……なぜ?」
「いいから!見せたいものがあるんだ」