nokibi_aki
DONE0真桐微睡の熱帯夜
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誘われたと思ったのは欲に汚れた自分が見せた幻覚だった。暑い。また夏本番では無いけれど、この湿度の高さが熱帯夜を思わせる。ぎゅ、と己にしがみ付く手が愛おしい。「一緒に寝たい」二人で一つをパカリと分け合うアイスを食べて身体が冷え機嫌がいいのか、桐生がそう言ってきた。
目線を寄越さないのは照れがあるのだろう。
安価で買ってきたボロい扇風機に当たりながら短い毛を揺らしている桐生の後ろ姿は堪らなく可愛らしい。本人に言えば拗ねて頭をぐりぐりと撫でられなくなるから言いはしないが。
ペラペラのタオルケットは二人を包むには不十分であったが、横に使えば問題は無い。膝から下が出てはいるが腹が隠れていれば冷える事も無い。主に桐生の腹が冷えないように、と気を遣った結果だ。自分一人ならこの布切れ一枚だって必要がない。
799誘われたと思ったのは欲に汚れた自分が見せた幻覚だった。暑い。また夏本番では無いけれど、この湿度の高さが熱帯夜を思わせる。ぎゅ、と己にしがみ付く手が愛おしい。「一緒に寝たい」二人で一つをパカリと分け合うアイスを食べて身体が冷え機嫌がいいのか、桐生がそう言ってきた。
目線を寄越さないのは照れがあるのだろう。
安価で買ってきたボロい扇風機に当たりながら短い毛を揺らしている桐生の後ろ姿は堪らなく可愛らしい。本人に言えば拗ねて頭をぐりぐりと撫でられなくなるから言いはしないが。
ペラペラのタオルケットは二人を包むには不十分であったが、横に使えば問題は無い。膝から下が出てはいるが腹が隠れていれば冷える事も無い。主に桐生の腹が冷えないように、と気を遣った結果だ。自分一人ならこの布切れ一枚だって必要がない。