りりさん
MAIKINGenvy me水曜日の放課後、学校の近隣にあるファーストフード店でハンバーガーを食べる。それは、どちらが定めた訳でもないし、約束をしたとかでもないにも関わらず二人の間に出来た慣習の様なものだった。飼育者(父親)が毎月テーブルに置いていく、子供二人が生活するには困らないだけの金銭――。それさえあれば十分だとでも言うように年々希薄になっていく父親との関係性。同じ食卓を囲むことも無ければ、まともに会話をすることも無い。永夢が記憶している限りでも、エムが記憶してる限りでも宝生家では父と子だけが同じ屋根の下に暮らしていると言うのにも関わらず、互いに関心を持ち合わせない暮らしをしていた。だからといって、どうということも無い、永夢にとって或いはエムにとっては、基本不在の父親の存在等に重きを置くほどの価値もないのだから。
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