マリウス
DONE文字書きワードパレット18「おはよう」「ワルツ」「靴」日々は踊る、されど進まず アラームの音に呼び起こされないのは、約五日ぶりだった。元々眠りが深いタイプではないのだが、知らないうちに日頃の疲労が溜まっているかもしれない。何となしに瞼を開けると、セットされていない目覚まし時計が無情にも午前十一時半を指している事実を瞳に映した瞬間に、いつも冷静沈着な譲二も流石に肝を冷やした。
まだ覚醒しきっていないせいか、まともに頭が回らない。慌てて布団をめくってベッドを降りても、向かったのは洗面所ではなく妻の部屋だった。
「みよしさ……」
「あら、譲二さん、お目覚めですか? おはようございます」
ちょうど洗濯物を干しているのか、足元には洗濯カゴ、ほぼ全開の窓とベージュ色のカーテンを前にして純白のシーツを腕にかけている三好(旧姓)。窓の外のベランダには植木鉢や植物の緑、真昼に近いせいか眩い日差しが彼女の金色に近いサラリとした長い髪をより輝かせる。日当たりの良いこの部屋を彼女に譲ったのは大正解だと譲二は過去の自分を心の中で全力で労った。
7411まだ覚醒しきっていないせいか、まともに頭が回らない。慌てて布団をめくってベッドを降りても、向かったのは洗面所ではなく妻の部屋だった。
「みよしさ……」
「あら、譲二さん、お目覚めですか? おはようございます」
ちょうど洗濯物を干しているのか、足元には洗濯カゴ、ほぼ全開の窓とベージュ色のカーテンを前にして純白のシーツを腕にかけている三好(旧姓)。窓の外のベランダには植木鉢や植物の緑、真昼に近いせいか眩い日差しが彼女の金色に近いサラリとした長い髪をより輝かせる。日当たりの良いこの部屋を彼女に譲ったのは大正解だと譲二は過去の自分を心の中で全力で労った。