もろきゅう
DONEオニワカと彼岸花の話。赤い魔法を昼下がりに 踏切の隅に赤いものがチラチラと揺れているのを見かけて、列車が轟音で走り抜けていくのを横目にそれを眺めた。
風圧で大きく揺れる彼岸花が、オニワカの視界で踊っていた。
縁起でもない花だ。
第一印象はそうだった。
別名を死人花、捨子花と言って、彼岸花の気味の悪さを物語っているようだ。
特に、捨子花。
元の世界から一人、東京へと流れ着いてしまった赤子としては、眉をひそめたくなる名称だ。……まあ、花ごときに心乱れてやる義理もないが。
踏切の遮断器が上がる。
オニワカは歩き出さない。
揺れる彼岸花を見つめていた。
彼岸花にも花言葉はある。花なのだから当然だ。
誰が決めたかは知らないが、「あきらめ」だの「悲しい思い出」だのと、辛気臭い文言が並んでいるのを、鼻で笑った覚えがある。
1452風圧で大きく揺れる彼岸花が、オニワカの視界で踊っていた。
縁起でもない花だ。
第一印象はそうだった。
別名を死人花、捨子花と言って、彼岸花の気味の悪さを物語っているようだ。
特に、捨子花。
元の世界から一人、東京へと流れ着いてしまった赤子としては、眉をひそめたくなる名称だ。……まあ、花ごときに心乱れてやる義理もないが。
踏切の遮断器が上がる。
オニワカは歩き出さない。
揺れる彼岸花を見つめていた。
彼岸花にも花言葉はある。花なのだから当然だ。
誰が決めたかは知らないが、「あきらめ」だの「悲しい思い出」だのと、辛気臭い文言が並んでいるのを、鼻で笑った覚えがある。
もろきゅう
DONE主人公とオニワカがバスタブに詰まる話。バスタブに詰めて ガタガタと揺れる窓。
ゴロゴロと唸る雨雲。
ザンザンと叩きつける雨。
セーフハウスの一つであるアパートの一室で、サモナーは一人、台風の対策をしていた。雨戸を閉め切り、非常食を蓄え、ある者を喚び出す。
「我が声に応じ、参じたまえ、オニワカ」
召喚紋が浮かび上がり、光となってあたりに漏れ出す。少しだけ強い輝きのあとに姿を表したのは、目を見開いて周囲を見回している、ずぶ濡れの忠臣だった。
拳には血が滲んでいる。おそらく生きるための何らかをしてきたのだろう。
サモナーは雨粒を滴らせるオニワカに笑いかけると、言った。
「有事の際は遠慮なく呼んでいいって言われてたから、呼んじゃったよ」
「何だよ主様。誰かから命でも狙われてんのか?」
1769ゴロゴロと唸る雨雲。
ザンザンと叩きつける雨。
セーフハウスの一つであるアパートの一室で、サモナーは一人、台風の対策をしていた。雨戸を閉め切り、非常食を蓄え、ある者を喚び出す。
「我が声に応じ、参じたまえ、オニワカ」
召喚紋が浮かび上がり、光となってあたりに漏れ出す。少しだけ強い輝きのあとに姿を表したのは、目を見開いて周囲を見回している、ずぶ濡れの忠臣だった。
拳には血が滲んでいる。おそらく生きるための何らかをしてきたのだろう。
サモナーは雨粒を滴らせるオニワカに笑いかけると、言った。
「有事の際は遠慮なく呼んでいいって言われてたから、呼んじゃったよ」
「何だよ主様。誰かから命でも狙われてんのか?」